よいゴルフをする心構え

株式会社 リウデン

2010年04月16日 12:25

ゴルフはメンタルが重要な割合を占めるスポーツである。
スコアを計算し始めると、必ずそのホールから崩れ始める。これはすべてのプレーヤーに共通している。

池を気にすると、池に打ち込み。バンカーが気になると、バンカーに入れてしまう。「バンカーから一発で出せるか?」という思いがふと頭をよぎると、ホームランになったりする。不思議だ!

そんなゴルファーの悩みを解凍する文章があったので紹介をしたい。スコアが3つほどよくなること請け合いです。ただし技術の裏付けが必要ですが・・・

吉田繁治氏のビジネス知識源プレミアム:ユニ・チャームのSAPS営業法(1)」より一部転載。(写真はWebから拝借し筆者が挿入)


転載始め

始まったばかりの米国ツアーで、今年2連勝した宮里藍、すばらしいプレーヤーです。



神経のタフな強豪が集まる米国に渡り、最初の年(2006年)は、賞金ランクで6位と成績がよかった。二年目は更に上と期待されたに拘わらず、連続5回も予選落ちするどん底だった。

月曜早朝の衛星放送で見ても、心にダメージがあると感じ取れ、痛々しかった。インタビューを逃げ、ロッカーで号泣することもあった。
歯切れのいい応答は消えていた。キラキラ輝く目におびえるような光があった。

3年は長い。ドライバーが、怖くて振れなくなっていたという。



それが2009年7月に、エビアンマスターズ(フランス)でLPGAツアーの初優勝。日本人選手と、外見が無愛想に見える上田桃子が、顔をくしゃくしゃにして祝福していた。この心理は手にとるようにわかる。

そのころ、宮里藍は明らかに変っていた。どんな転機があったのか・・・トッププロに技術差は、ほとんどない。

全盛期、無敵と思えるくらい強かったアニカ・ソレンスタムのコーチだったピア・ニールソンに、すがるように依頼していた。彼女は、「目の前の一打に集中するだけだ」と普通のことを教えた。

要所は「優勝できる可能性があるゲームで、本当に、結果を求めず、目の前の一打だけに集中できるかどうか、ここが、唯一の分かれ目です」と言う。

そのために「自分と約束する」 何を約束するのか? 「結果を求めない」こと。そんなことが、果たしてできるのか? 誰だって、結果を目標に、ショットしているのではないか。

2年半前、宮里のドライバーは曲がっていた。その渦中で、「もう、ゴルフはやめないといけないのか。ティーグラウンドに立つのが怖い」と思いつめていたという。



目標の基準は高かった。それが、どうやっても、大切なところで大きなミスが出て崩れる。崩れたまま、回復できない。

繊細な性格の宮里藍は、「まだ起きていない未来、つまり結果」を求めていた。ホテルに財布を忘れたとする。そのとき、宮里藍はゴルフ場で、「誰かに盗まれたらどうしよう」と、居ても立ってもいられなくなっていた。正直すぎた。

しかし、いくら不安になっても、これは、意味がない。どんなに不安になっても、ホテルに戻らない限り、部屋に忘れた財布を盗まれることを防止はできない。盗まれる確率は低いでしょう。

未来にしか結果が出ないことを、あれやこれや思い悩むのは、人の性です。それを意図して断ち切って、今、ここにいる自分ができることをする。「自分は今、ここにいる。結果は未来だ・・・未来は、誰も確定できない」



バンカーに入ったとき、人は、(まだ起っていない未来の)悪い結果を想像し思い悩んでしまう・・・トップしてホームランでOBになったらどうしよう、ピンを10メートルもはずし、3パットしたらどうしよう(未来の結果への恐れ)・・・これが普通の心理です。私は、いつもこれです。

まだ起っていない未来を悩めば、目の前の一打が、難行に思えてくる。余計な力が入り、タイミングが乱れ、練習では平気にできる簡単なスイングもできなくなる。

練習では「やり直しが効く」という未来があるから、ミスしても平気です。このことが、いいショットを生む。つまり、打つとき結果を考えていない。いいスイングのイメージだけがある。

しかし本番では、全ショットが、一回の機会しかない。一回限りで、毎回、条件が変っている。
時間は、二度と繰返すことがない。全部違う。これは凄いことです。

結果を求め、スイングの前に思い悩んでも、意味は全くない。それは分かっている。しかし、いい結果をもとめ、人は悩む。宮里藍の、泥沼のような2年半がそうだった。900日は長い。

練習を人並みはずれて行うのは、子供の頃からの習慣だった。プロゴルファーなら、激しい練習は普通です。技術に問題があったのではない。



練習ではうまく行く。しかし「練習でいい結果が出るからこそ、悩みは深くなる。」技術に問題があるのなら、それを直せばいい。むしろ、技術的な欠陥なら救いです。アマとはレベルが違う。技術でのプロが、練習でできることが、本番でできない。何が違うのか。

試合では「まだ起っていない結果を、求めてしまう」という人間に不可能なことを行ってしまうからでしょう。

本番で結果を思い悩まず、目の前の一打に集中すると言っても、それは、どうやればできるのか?


ピア・ニールソンは、以下を教えた。すばらしいコーチです。まず、練習のとき、この1打だけしかないと自分に自分で、本番と同じプレッシャーをかける自己訓練をする。

それを何万回も、筋肉と心に定着させるまで、繰り返す。まずこれが重要。一日500打なら、100日かかります。普通、1年かかるかも知れない。筋肉と脳に過剰記憶させる。過剰記憶させれば、条件反射に似た第二の本能にもなるだろう。膝の皿の下を叩くと、脚がピンと伸びる

あれ、です。

練習では、以下のルーティーン(決まり切った動作と考え)を、自分の心に定着させる。この定着のことを、会社では標準化とも言う。

動作を1万回も繰り返す。動作からです。心からではない。つまり、意識からではない。行動からです。行動が心を決めるから。

まず、球の1メートル後方の右に「Think Box」の場所を決め、実際に球を打つPlay Boxの場所を決める。これも、行動です。


(1)Think Time:情報を集め、考える時間をとる。

球の右後ろに立って、ライ(下の芝や地面の状態)、風向き・強さ、狙う落下地点の状態、つまりショット(=宮里藍の仕事)に関する「情報を集め、ショットを考える時間」を作る。打つショットを、ありありと、心にイメージする時間。

中略

(2)Decision Making Time:決断する時間

Think Box(考える場所)で、そのスイングに最適なクラブを決め、スタンスを決めて、スイングの方法と、球筋、高さを決める。ショット・イメージが決まっていれば、これは容易です。

中略

(3)Do Time:実行する時間

実際にスイングをする実行の時間では、スイングのメカニックなことは、一切、考えないようにする。スイングのイメージができていれば、プロなら、ほぼ誰でも自動実行できます。

実際に構えたとき、何か、またはどこかに、しっくり来ないときがあれば、もう一度、スタンスをはずす勇気をもってThink Boxの場所に戻り、同じThink Timeをもう一回行う。

中略



重要なことを言えば、この3つのプロセス、
(1)Think Time(情報集め、自分が何をすべきかを考える時間)、
(2)Decision Making(実行すべきことを決める時間)、
(3)Do Time(そのスイングイメージを実行す時間)の、いずれにも
「結果(未来)を思い悩む時間」の入り込む余地がないことです。

これが「今、実行することに集中せよ」ということの内容です。

実際に行ってみれば分かりますが、この過程は、実に忙しい。
そのため(ショットの後の未来の)結果を思い悩む時間はない。

中略



そして、ミスショットのときの、ポスト・ルーティーンです。ショットを打ち終わった後です。結果は出た。思いどおりは行かないことが多いでしょう。

「ミスは、すぐ、忘れねばならない」

どうやって忘れるのか? 
また、ここで思い悩むのが普通でしょう。

「打ち終わった後、何事もなかったように振る舞う」

振る舞うとは、動作する、行動するということです。
「あれれ、誰がミスしたのかしら?」と笑い飛ばすのがいい。

あるいは、無理をし、すばらしい笑顔を意図して作る。実際に無理をし、笑顔を作ってみてください。心が変化するのが分かります。



演歌の鼻歌を歌ってもいい。青木功は「しゃんめぇ(我孫子弁)」とつぶやいていたそうです。しゃんめぇでもいい。つぶやいて、すばらしく笑えば、思い悩む時間がなくなります。すばらしい景色を見つめてもいいかも知れない。まずい結果からは、気をそらす。

中略

ポスト・ルーティーン(ショットの結果が出た後の短い時間)では、どうするのか?

「客観的な事実を、自分に向かい、つぶやくこと」だという。

信じられない、悔しい、もうダメだ、切れたと思う(感情の)前に、客観的な事実をだけをつぶやく。あきらめないということでもある。

「逆目のラフでグリーンの傾斜が思ったより、きつかったから、奥まで転がった」、「風がフォローから、アゲイニストに変ったためショートした」、「思わず、ショット・イメージを外れ、フックボールを打とうと右手の力を入れ、手首を返しすぎた。」・・・

ミスの原因を、有害な感情を殺し、客観的に分析し、事実を確定することをポスト・ルーティーンという。

客観的な事実による「反省」を毎回行い、次のショットやパターに向かう。練習でも、同じことを、何度も繰り返す。

中略



以上のプロセスを振り返れば、
(1) Think Box:考える場所を、球の1メートル後方の右に決
める。
(2)Think Time:そこに行って、情報を集め、考える時間をと
る。
(3)Decision Making Time:ショットをイメージし決断する時

(4)Do Time:イメージを実行する時間
(5)Post Routine:結果を見て、客観的な事実による反省をつぶ
やく

次のショットでも、同じことを繰り返す。

中略

(注)『Choice』誌:2010年5月号の記事を参考にしています。


転載終わり



これで皆様のスコアが良くなりますように・・・
ありがとうございます。
                  Text by Yonaha

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