2019年05月09日 16:32
大島みち子さんと言う女性がいた。子供の頃は頭もよく、体も健やか、本当に可愛い、いい子だった。
その大島さんに異変が生じたのは高校に入った時だった。顔の軟骨が腐るという難病にかかったのだ。その治療のため、高校は5年かかってようやく卒業した。彼女は京都の同志社大学文学部に進学。だが、病気が再発、長い闘病生活となる。その間に河野誠さんという学生と知り合い、手紙を取り交わす間柄になったりする。
中略
大島さんは書いている。
「病院の外に健康な日を3日ください。1週間とは欲ばりません。ただの3日でよろしいから病院の外に健康な日がいただきたい」
「1日目、私はとんで故郷に帰りましょう。そして、おじいちゃんの肩をたたいてあげたい。母と台所に立ちましょう。父に熱燗を一本つけて、おいしいサラダを作って、妹たちと楽しい食卓を囲みましょう。そのことのために1日がいただきたい」
「2日目、私はとんであなたのところへ行きたい。あなたと遊びたいなんていいません。お部屋を掃除してあげて、ワイシャツにアイロンをかけてあげて、おいしい料理を作ってあげたいの」
「3日目、私は一人ぼっちの思い出と遊びましょう。そして静かに1日が過ぎたら、3日間の健康にありがとうと、笑って永遠の眠りにつくでしょう」